探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.7【「稲荷山」か「二石山(二谷山)」か】
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ihukakusa
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nikokuyama
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上=「深草村絵図」をもとに模写された明治時代の深草村(『深草 稲荷』 深草稲荷保勝会より)
下=二石山が描かれている「城州伏見町圖」の部分(藤森神社蔵=複製)
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 「東山三十六峰」の南端は稲荷山である。地形図を見ると、その東に239.3m(三等三角点、点名=西野山)の山があることに気づくはずだ。南側の大岩山(182m)から望むと、稲荷山と同規模の山容であり、捨ててはおけないピークである。最近では、旗振り山(大阪堂島の米相場を地方へ伝達するため、旗を立てた山)として注目を集めている。

 山名は、「稲荷山」「二石山(弐石山・二谷山)」「西野山」がみられ、いまも定着しているとは言い難い。確かに、稲荷山に祀られた神々はこの山にもあり、それらを巡る道が通っている。たとえば、磐座として崇められた大岩大神は、この山の標高約200mに位置している。また、岩屋寺や山科神社での聞き取りでは、「西野山」という答えが返ってきた。

 二谷山は、明治3年の「深草村絵図」模写図に記載されているが、「城州伏見町圖」(天保年間)では、深草の石峰寺から宝塔寺にかけての山(二石山)として描かれており、『京都府紀伊郡誌』(大正4年)・『伏見町誌』(昭和4年)も、原文を読む限りこの三角点峰に当てはめるのはいささか苦しい。
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