探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.23【比叡山中に眠る近代の産業遺産】
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上2枚=谷の源頭を埋め尽くす石とその破片(図版は現場の位置関係)
中=早くに放棄されたと思われる別の谷の露岩(風化して、現在はガレになっている)
左下=石切道に残る石積みと粗加工された石
右下=谷を遡ると、同様の光景が何度も出てくる。道が分岐する地点には、伐り開かれた平坦地と石積みが残る
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 一乗寺・井手ヶ谷には、「白川石」を切り出した石切場(石切丁場)が何箇所も点在する。なかでも、いちばん標高の高い丁場は、尾根がなくなるほど採掘され(露天掘り)、その末端が小ピークになっている。上の概念図はその位置関係を示したもので、「山方」(切り出し担当)の仕事ぶりが目に見えるようだ。露頭の前は平坦な地形になり、そこから北東側は排水をはかるための溝や石積みが連なっている。いっぽう、南西側は石の破片が大量に積み重なり、現在はその上を植物が覆っている。

 別の場所では、運搬するための拠点になったと思われる地点や小規模な丁場、さらに粗加工された石など、その痕跡が谷を遡るにつれて次々と現れ、往時の様子や盛業ぶりを伝えている。「石屋さん」(加工担当)の話では、時代を追うごとに、より産出量の見込める場所(「富石帯」と呼ばれる)へ移動し統合されていったという。

 時代ごとの地図の表記と遺産を総合的に調査すれば、その推移や全体像が浮かび上がってくるのではないだろうか。いずれにせよ、この地域の歴史を語るうえで、忘れてはならないテーマだ。
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