探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.35【横川の山稜――9月の花】
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 左から、アキチョウジ・ミカエリソウ・アキノキリンソウ
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mizuhikihushigurotsurifyne
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 左から、ミズヒキ・フシグロセンノウ・ツリフネソウ
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 左から、レモンエゴマ・オタカラコウ・ホツツジ
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akebono
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 アケボノソウ
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 9月は秋の草花が一斉に咲き誇るのだが、近年はシカやイノシシの食害ですっかり寂しくなってきた。いたるところにケモノ道や土を掘り返した痕が目につく。とくに、下草の生えていない植林地周辺の草地が顕著である。ミカエリソウとオタカラコウ、そしてレモンエゴマだけが目立つ谷筋は、なんだか無気味だ。残っているのは毒を持つ植物だけで、あたりまえに思っていた種が毎年見られるとはかぎらない。これからは、そんなものも記録しておかなくてはならないのだろうか。
 中国内陸部の3000m〜4000mでは、ヒツジやヤギ・ヤクが放牧されており、そうした標高にシャクナゲやサクラソウの仲間が一面に咲いている場面とよく出合う。これは、動物が食べずに残した結果で、美しいお花畑が気象や地形・地質だけで説明できないことを知っておきたい。湿潤で豊かな日本の植生も、微妙なバランスで成り立っているのを実感するこの頃だ。
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