探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.905【唐笠山】
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左=尾根の取付き付近(下阪本)  右=急な植林地を登る
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奥高野の山々(遠景左は荒神岳。遠景中央は陣ヶ峰)
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弘法大師の道が通る山稜(白石岳・大日山など。遠景左手は和泉山脈)
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金剛山・葛城山(遠景)。中景は弘法大師の道が通る山稜(中央の鞍部は天辻峠)
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左手は乗鞍岳(武士ヶ峯への山なみが右につづく)
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十津川(熊野川)下流方面(中景は高野辻から白六山の山稜が川筋に張り出す)
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鉄塔が建つ白六山(中景中央左)。手前右手は1,002m峰
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左=行者山頂上  右=唐笠山頂上(点名=唐笠)
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唐笠山山頂付近のブナ林
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稲村ヶ岳(左手)と弥山・八経ヶ岳(右手)・仏生ヶ嶽(右)など大峰山脈北部・中部の山々(中景は天ノ川流域)
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左の尖峰は大日山。右へ稲村ヶ岳とバリゴヤノ頭がつづく
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栃尾辻につながる稜線(遠景は左から弥山・八経ヶ岳・明星ヶ岳と仏生ヶ嶽)
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左=東から来る林道の終点  右=1,106.3m峰(柵休場山)頂上(点名=殿野)
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左=植林地のモノレール終点  右=谷沿いの林道を降る(正面は白石山の尾根)
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天ノ川の水面に映る空と樹林
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 中八人山の帰り道。大峰前衛の唐笠(とがさ)山へ寄ってみた。昨年に訪れた天和(てんな)山・滝山のつづきにある山で、弥山の栃尾辻から西に張り出す支稜の末端に位置する。天川村と五條市大塔町(旧大塔村)の境界にあたり、日帰りでは行きにくいエリアである。
 最大の理由は、十津川村を縦貫する帰途のバスが午後早くに無くなること。現地での行動時間の短さがなによりもネックだ。中庵住(なかいおすみ=天川村)発なら夕方の便があるので、なんとかそこまで到達できるルートがないものかと思案していた。
 山行記録を検索するなかで、「大塔から天川へ秘境バスリレー 唐笠山」(2022年10月30日)というリポートにたどり着く。私の思い描くコースに近くおもしろい。この方の着想と計画・行動の実力に敬服する。いくら里に近い山とはいえ、急峻な地形と岩場・沢の困難さを考えれば、下山ルートはベストといえるのではないか。これで、問題が一気に解決した。
 温泉地(とうせんじ)温泉で泊まった翌朝。一番のバスで大塔町下阪本まで移動し、猿谷貯水池の傍から登り始める。尾根に点在する家屋を過ぎると植林地になり、行者山まで急坂がつづく。送電線の鉄塔では五條市側の展望が得られ、二番目の鉄塔では十津川(熊野川)の下流方向と大峰側も望めるようになった。すぐ上の岩に役行者と水神が祀られる。頂上の鉄塔は撤去され、基礎のアンカーが残るだけだ。周囲は伐り払われた木々が山積みになっていた。
 1,062m峰は北面をトラバースし、尾根に戻った地点から唐笠山をめざす。進行方向右手に作業道があり、山頂を通らずにトラバースできるらしい。登り切った自然林のなかに三等三角点があった。
 急峻な尾根を外さないよう降ると、先ほどのトラバース道が合流する。尾根の方向が変わり、林道が突然現れた。少し手前の斜面と林道終点では、大峰のパノラマが視野いっぱいに広がる。昨年の捻草(ねじもち)峠近くの風景に劣らない景観。思わず声を上げた。標高1,000m前後を維持して東へ向かうと、植林のピークが行く手に見え、1,106.3m峰(柵休場山)が近づいてきた。尾根と標高差がない地点から道を離れ、掘り込まれた古い道を利用して曲折を繰り返す。三等三角点付近は自然林だった。
 いよいよ、リポートを参考に下降開始。植林帯に入ると、倒木などでやや煩わしい古い道とは別に作業用の踏み跡があるではないか。それを追えば、目標にする支尾根へ誘ってくれる。願ってもない展開でありがたい。緩い傾斜地では赤いモノレールの終点が目に入った。林道まで確実に下山できる目処がつき安堵する。ただ、下部の斜面はなかなかの傾斜で、レールに体を預けながら谷間の起点に降り立った。1,106.3m峰から30分。思いのほか行程が捗る。
 バスの発車時刻まであと1時間半あるため、この3日間を振り返りながらゆっくり休憩した。天ノ川の風景や樹林が晴天に映えて、穏やかな時間が過ぎる。喜びと感謝で胸がいっぱいになった(2023.10.30)。
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左=シラネニンジン  右=ハガクレツリフネソウ
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